泳動結果
カゼインは,ウシのミルクの主成分です。
β-casein は1分子あたり5個のセリンがリン酸化されています。
アルカリフォスファターゼによって,経時的に脱リン酸化が進みます。
その過程が,リン酸基の数が多くなるほど移動度が大きくなる
Urea-PAGE によって観察されます。
通常のSDS-PAGE でもリン酸基の数によって多少の移動度の差があり,
脱リン酸化の過程がわかります。
Mn2+-Phos-tag SDS-PAGE では,
処理時間30分の時に最も多数のバンドが見られます。
リン酸化数が多いほど移動度が大きくなるという法則はなく,
リン酸化数が同じでも,移動度の差があったり,
リン酸化数が1個のものが2個のものより移動度が小さかったりします。
処理時間30分の時に最も多くのリン酸化種が含まれると考えられますが,
このサンプルを1次元目にUrea-PAGE, 2次元目にMn2+-Phos-tag SDS-PAGE
を行うと,リン酸化数とMn2+-Phos-tag SDS-PAGEでの移動度の関係がわかります。
スポットは9個観察されました。
スポット#2は,一つのリン酸基しか含みませんが,
5つのリン酸基を含むスポット#9よりも移動動が小さく,
全ての中で最も移動度が小さいリン酸化種です。
スポット#2とスポット#3は一つのリン酸基を含みますが,
移動度が異なります。
質量分析でスポットを解析したところ,
スポット#2はSer-50, スポット#3は Ser-34 がリン酸化されたものでした。
関連画像
β-casein (Mn2+-Phos-tag濃度と移動度の関係)
β-casein(2D;等電点電気泳動/Mn2+-Phos-tag SDS-PAGE)